デノンAVアンプ4機種を一気に聴き比べ! 最新モデル「AVC-X2850H」のパフォーマンスに注目
「2025東京インターナショナルオーディオショウ」のホームシアターデモルーム(G701)で行われた、AVアンプ4機種の聴き比べ体験会をレポート! 最新モデル「AVC-X2850H」を中心に、音の進化を体感してきました。
大盛況だったホームシアターデモルーム
こんにちは、オーディオ&サブカルライターの杉浦です。国内最大級のオーディオショウ「2025東京インターナショナルオーディオショウ(TIAS)」が、2025年10月17日から3日間開催されました。国内外のハイエンドオーディオが東京・有楽町の国際フォーラムに集まる贅沢な空間の中、ホームシアターデモルーム(G701)で行われたのが、AVアンプ4機種の聴き比べ体験会です。

今回の主役は、9月に発売された7.2ch AVアンプ「AVC-X2850H」。この最新モデルを、約3年前に発売された前世代モデル「AVR-X2800H」、さらにクラスが上の「AVR-X4800H」や「AVC-X6800H」とも聴き比べるという内容でした。

4機種を一気に体験できる機会は貴重なこともあり、ブース内はデモが進むにつれて席がどんどん埋まっていく盛況っぷりでした。
見慣れたコンテンツでこそ「音の違い」を実感する
体験会は、まず前世代モデルの「AVR-X2800H」からスタートしました。再生ソフトは、おなじみの「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」と「トップガン マーヴェリック」。プレゼンターの営業企画室の田中は「この2作品は、AVアンプの開発やデモで150回くらいは再生してきました。たぶんみなさんも何度も見ていますよね」と笑いつつ、「見慣れた作品でこそ、サウンドの違いを体感してほしい」と語りました。
スピーカーはAVC-X2850Hのチャンネル数に合わせて、Bowers & Wilkins 「800 D4シリーズ」を中心とした5.2.2ch構成で統一。スクリーンに映し出される迫力のシーンに合わせて、「AVR-X2800H」が「802 D4」を力強く駆動し、Dolby Atmosの立体音響を活き活きと鳴らします。

すでに完成度の高いサウンドですが、これが最新モデル「AVC-X2850H」でどのように変わるのか、期待が高まります。

続いて再生されたのが「AVC-X2850H」。いよいよ主役の登場です。「実は、前世代のAVR-X2800Hからフルモデルチェンジというほど多くの変更はしてないんです。ただ、ピンポイントで大きく変わった場所があるので、それが音質にどう影響を与えているか感じてほしい」と田中は言います。確かに、実際に聴き比べてみると、静けさやパワー感が見事に向上しています。
このサウンドの進化は、「ラジオチューナーを廃した設計がポイント」だという。そう、「AVC-X2850H」は、前世代モデルにあったラジオチューナーを搭載していません。「高周波を扱うラジオチューナーを取り除くことで、内部ノイズの回り込みを防ぎ、SN比(信号対雑音比)を向上させる効果が生まれた」とのことです。
その構成の違いは型番にも現れており、前世代モデル「AVR-X2800H」の型番にある「AVR」のRはラジオチューナー搭載アンプを意味する“Receiver”に由来するものです。対して、最新モデル「AVC-X2850H」はラジオチューナー非搭載なので、後継機ながら型番は「AVC」となっているのです。
さらに「AVC-X2850H」のHDMIチップには、新たにジッター(信号の揺らぎ)を低減する機能が搭載されており、HDMI入力時のデジタル信号伝送精度も向上していると言います。これが音の安定感にも寄与。これらの新構成により、全体的に音の力感がぐっと増し、音の輪郭がより鮮明に感じられました。
例えば「007〜」でカーチェイスの後に時計塔の鐘が鳴るシーンでは、トップスピーカーが立体的に響き、音の広がりが空間全体を包み込みます。「トップガン〜」では、上空を旋回する戦闘機の動きに合わせてサウンドがダイナミックに展開。確かに田中の言う通り、仕様だけ見ると「フルモデルチェンジではない」のですが、ピンポイントなブラッシュアップにより、サウンド自体は一気に進化が感じられるという面白い体験でした。
またもう一つの注目ポイントが、「AVC-X2850H」で新たに搭載された「チャンネルレベル表示」。

トップスピーカーも含めた各チャンネルの音量レベルを、視覚的に確認できる機能です。これがかなり便利で、作品による各スピーカーの使い方の違いが如実に分かります。チャンネルレベル表示があることで、各作品のサウンドデザインの考え方の理解に繋がり、より深く作品を楽しむことができる映画好きには面白い機能だと思います。今後登場するAVアンプにはぜひ付けてほしいと思いました。
「AVR-X4800H」「AVC-X6800H」― 日本製造のプレミアムラインの音を体験
体験会の後半は、上位クラスの「AVR-X4800H」と「AVC-X6800H」も再生されました。「AVR-X4800H」は9.4ch、「AVC-X6800H」は11.4ch出力に対応するモデル。デノンAVアンプのラインアップの中で、この「AVR-X4800H」より上のモデルは、福島県にある自社工場、白河オーディオワークスで製造される「プレミアムライン」に位置付けられています。
ということで、まずは「白河モデル」の入り口となる「AVR-X4800H」から。田中は「ここぞというところにHi-Fiグレードのパーツを採用している」とアピール。確かに音の密度感が一気に高まっています。

試聴に使用した映画「エイリアン」では、幼虫が蠢く廊下を少女が進むシーンで、微細な環境音や登場人物の緊迫した息遣いの再現力に息を飲むほどでした。映像と音が一体となって恐怖を増幅させる、まさに高品位なホームシアターの醍醐味です。
そして体験会のクライマックスは、さらに上位の「AVC-X6800H」の試聴へ。田中は、その開発コンセプトが意外とユニークなところから出発していると語ります。

「基本的にAVアンプというものは、出力チャンネル数が多くなるほど筐体が大きくなっていきます。しかし、それを設置するラックサイズの制限もあります。最高の音で楽しみたいけど物理的に大きなAVアンプが置けないという方もいます。そこで開発したのが、AVC-X6800H。サイズの制限は満たしつつ、最高の音も妥協しないモデルとして位置付けています」(田中)。
「AVR-X4800H」以下のミドルクラス機と同等サイズの筐体ながら、その内部は高密度に詰め込まれたハイエンドモデル並のパーツで構成され、パワーアンプのコンストラクションも上位モデルに近づけたという「AVC-X6800H」。
さっそく「トップガン〜」が再生された時点で、その実力はビシビシと感じられました。これまでの3機種と比較して圧巻のサウンド。体感した印象をひとことで表すと、情報量の多さが圧倒的です。それと相まって、空間の奥行き感も向上しているように思いましたし、作品の臨場感が高まっていました。
また、本機は高クオリティモデルであるのと同時に、「インテリジェント・エコモード」を搭載し、音質に影響を与えず消費電力を抑える設計もユニークです。今回はあえて、その機能をオフにして、最高の状態での試聴が行われましたが、実生活で便利な機能を備えているのは嬉しいですよね。
最新モデル「AVC-X2850H」のパフォーマンスに注目
さて、今回4機種を聴き比べて「何気に凄いな」と印象に残ったのは、「AVC-X2850H」のパフォーマンスの高さです。もちろん上位クラスの「AVR-X4800H」「AVC-X6800H」の実力が当たり前のように素晴らしかったのは大前提。ただそれと比較しても「AVC-X2850H」は、ミドルクラスでありながら上位モデルに通じるパワーもあり、よりピュアな方向へと進化しているように感じられました。
田中は「10万円クラスのAVアンプは、コストを抑えながらもサウンドパフォーマンスをどれだけ上げられるかという点に力を入れて開発しています」と語っていました。
「AVC-X2850H」は、その重要だけれど難しいポイントに全力で取り組むことで生まれた「本気のミドルクラス」と言えると思います。デノンの開発哲学とサウンドの進化を改めて実感するイベントでした。

杉浦みな子 プロフィール
1983年生まれのオーディオ&サブカルライター。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学時は映画研究会で映像制作に勤しみつつ、文芸評論家・福田和也教授に師事。医療系ベンチャーに4年勤務したのち、2010年よりAV・家電メディアの編集/記者/ライターとして13年間従事し、音楽とコンシューマーエレクトロニクス系の分野を担当。2023年独立。
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