飯田有抄の「Spotifyがロスレス対応。HEOSで解き放たれる、広がりある音楽体験をRCD-N12で!」
2025年秋、待望のSpotifyロスレス配信が開始。クラシック音楽ファシリテーター・飯田有抄さんが、デノンのネットワークCDレシーバー「RCD-N12」とHEOSアプリを組み合わせてその真価を体験。CDクオリティ以上の高音質がもたらす圧倒的な臨場感や、アプリの利便性を活かした新たな音楽との出会いについて詳しくレポートします。
世界中の音楽ファンが待ちわびたSpotifyのロスレス配信。2025年秋、ついにサービスがスタートし、膨大なプレイリストがCDクオリティ以上(FLAC 44.1kHz/16bit または24 bit)で楽しめるようになりました。私は今6社のストリーミングサービスと契約して使用していますが、実はSpotifyの稼働率がもっとも高いです! 扱いやすい上に、音質が素晴らしい。
私は仕事柄、日々さまざまな音源に触れるため、Spotifyでロスレスを聴けるようになったインパクトは絶大です。またウェブ記事などで音源を紹介する時には、SpotifyのURLをリンクすることも多いので、ユーザーに優れた音質で共有できることもとても嬉しい!
Spotifyロスレスの再生は、愛用の「HEOS」対応のオーディオと連携させることで、その真価が100%発揮されます。連携方法はいたって簡単なので、ここでサクッとまとめておきましょう。
HEOS対応オーディオからSpotifyを聴く方法
まずはロスレスを楽しむには有料プランに加入することは必須です。Spotify Premiumアカウントに登録します(もともと加入していれば、とくに何もせずOK)。HEOSアプリやSpotifyアプリ、使用するオーディオ機器のファームウェアも最新バージョンにアップデートしておきます。
HEOSアプリの「ミュージックサービス」からSpotifyを選びます。すると自動的にSpotifyアプリに切り替わります。再生画面左下のデバイスアイコンから「Connect」に行き、音楽を再生したいデバイスを選択。音楽を再生中に、「ロスレス」の表記が出ていない場合は、「Connect」からデバイス名の横の「>」をタップ、「音質設定の変更」に入り、「オーディオストリーミングの音質」から「ロスレス」を選択すれば、次の楽曲からロスレスで再生されます。
HEOS対応オーディオでロスレスを聴くメリット
もちろんBluetoothやAirPlayでもSpotifyの音源は楽しめますが、HEOS対応オーディオでは、Wi-Fiで接続することにより、オーディオ機器がインターネット上のサーバーから音楽データを直接取得し、高音質の音楽データがダイレクトに再生されるので、圧倒的な情報量の音質となります。スマホはあくまでリモコンの役割を果たしているだけで、音楽データを飛ばしているわけではありません。ですからスマホの通信状況の悪化によって音が途切れたり、着信音や通知音が音楽に重なってしまったりすることもなく、快適に音楽を聴き続けられます♪
デノンのRCD-N12を用いて、Spotifyのロスレス音源を存分に堪能してみました。小さなシステムから広がるロスレスの世界に、あらためて驚かされます。SpotifyアプリのUIはとても使いやすく、「なんとなくブラームスの交響曲聴きたいなぁ」と思ったときに、サクッといくつかの音源から聴き比べられます。

レンジの広いオーケストラは格別な聴体験に
「ロスレス」の恩恵をめちゃくちゃ感じることができたのが、このペトレンコ指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のアルバムです。ロスレス24bitの再生は、交響曲第1番の冒頭から広大なサウンドフィールドに驚かされました。「ロスレス」以前の再生では感じることのできなかったスペシャルな響きです。トールボーイのスピーカーで鳴らすと、オーケストラが目の前にバーンと現れるような迫力です。
エレクトロニクスの音響に心臓がドキドキ
オーケストラ音楽は、あらゆる意味でレンジが広いので高音質を堪能するのにもってこいですが、ここにエレクトロニクスの要素が加わると、さらにその真価が発揮されます。近年では「リコンポーズド」や「ポストクラシカル」と呼ばれるスタイルで、既存のクラシック作品に対してエレクトロニクスによるアレンジを加えた、より多彩な音響作品が誕生しています。ヴィクトル・ル・マスネがラヴェルの有名な「ボレロ」をアレンジした、「ボレロ-Recomposed」をぜひロスレスでお聴きください。こちらはロスレス16bitですが、電子音響による重低音にドキドキします!
目の前で奏者が奏でてくれているような音
広がりまくる音響空間を堪能する気持ちよさは格別ですが、目の前で演奏者が自分のためだけに演奏してくれているような、親密で生々しい響きを届けてくれるのも、ロスレスの高音質がなせる技です。ここで藤田真央さんが奏でるセザール・フランクのピアノ曲を聴いてみてください。ロスレス24bitが届ける、静寂の中から立ち上るようなピアノの響きの深みは、圧縮されてしまった音源では受け取ることのできないものです。
セレンディピティの喜び〜未知の音楽に出会い、偶然“発見”できる楽しさ
ストリーミングの最大の強みとも言えるのが、セレンディピティ(素敵な偶然に出合うこと)ではないでしょうか。なんとなくアプリを彷徨っていたらアートワークから気になる音源を発見、再生してみたらドンピシャで自分好みだった! こういう経験は誰しも経験しているはず。
Spotifyではさまざまなプレイリストが公開されおり、各ジャンルの最新リリースなども紹介されています。また、自分が選んだアルバムやプレイリスト、曲の再生が終わると、Spotifyのアルゴリズムがその選曲に合わせて、雰囲気やジャンルが似ている曲を自動で探し出し、エンドレスで流し続けてくれる「自動再生」機能もありますよね。ふと気づくと、見知らぬ、すばらしい音楽が流れていることがあります。
私がSpotifyを彷徨っていて偶然出会い、大いに感銘を受けたピアニストがいました。スペインの現代コンポーザー=ピアニスト、グスタボ・ディアス=ヘレスという人。なんでも、科学・数学・AI・宇宙現象・視覚素材・言語データなど、多様な生成原理を作曲素材として音響言語で再構築している……のだそうです。おそらく、日本ではまるで紹介されていない……。
優れたアーティストやアルバムはまさに、星の数ほど存在しているのですよね。出会いの確率が上がり、そしてそれが高音質で聴けるSpotifyロスレス、もうHEOS生活の相棒として欠かせません。


東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。「クラシック音楽ファシリテーター」を肩書としながら、クラシック音楽の普及にまつわる幅広い活動をおこなっている。音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆・翻訳、市民講座講師、音楽イベントの司会やトークの仕事に従事。ラジオやテレビなどのメディアに出演。書籍に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」(共著、音楽之友社)、「ようこそ!トイピアノの世界へ〜世界のトイピアノ入門ガイドブック」(カワイ出版)、「さぁはじめよう!オーディオのある暮らし」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。