飯田有抄のワイヤレスイヤフォンAH-C500Wレビュー。「これでよかったんだ…」という最適解で、軽やかに高音質を手に入れる!
デノンブログでお馴染みのクラシック音楽ファシリテーター・飯田有抄さんが、“最適解”として絶賛! 軽やかな装着感と高音質を兼ね備えた、デノンの開放型ワイヤレスイヤフォン「AH-C500W」をレビュー。耳元に爽やかな風を届けてくれるこのモデルで聴きたいクラシックや合唱曲の魅力も紹介してくれました。
爽やかなイヤフォン生活、再始動!
耳にしっかりフィットする密閉型のイヤフォンもいいけれど、もう少し開放感のあるイヤフォンで、爽やかに移動中の音楽も楽しみたい。自分の気分や体調、気候にも合わせて服装を変えるように、イヤフォンも選べるといいですよね! そんな願いに応えてくれたのが、DENONのAH-C500Wです。
AH-C500Wは、イヤーチップで耳に密着させる密閉型(カナル型)とは違い、開放型(インナーイヤー型)のイヤフォンです。付け心地は、「ギュゥ」というより「サッ」。耳穴に押し込んで密着させるのではなく、耳穴の外側にそっとはめる感じ。この方式が文字通り開放的で、なんとも軽快です。
開放型イヤフォンって、ちょっと懐かしくないですか? かつてはスマホを買うと有線の開放型イヤフォンが付いてきたりしました。あの軽快な使い心地、実は好きだった……そんな人、けっこういるのではないでしょうか。でもいつの間にか遮音性に優れた密閉型のイヤフォンが主流になっていましたね。
そんな中、いわゆる「ながら聞きイヤフォン」なるものが台頭しはじめているというではないですか。音楽をふわりと薄く快適に流し「ながら」、何か「しながら」、楽に聴き続けたいというニーズ。小さなスピーカーを耳に当てるような感覚で使える「ながら聞きイヤフォン」は、外界の音をほどよく取り入れます。イチイチ外すことなく、付けたままコンビニの店員さんとのやり取りができたりするのも、ちょっと便利。
ただし、軽くひっかける形の「ながら聞きイヤフォン」は、音質面が蔑ろにされがちになることも。低音がほとんど聞こえなかったり、カサカサした乾いた音質を感じたり。それでは音楽に触れている心地よさが減ってしまいます。開放的ながら良い音質である——このいかにも両立が難しそうな2つのポイントを叶えてくれたのが、AH-C500Wでした。
肝心なのはやっぱり音質

実際、その音質にはかなり驚きました。私は日頃、クラシック音楽を中心に聴いています。室内楽などをBGMにするのは、なかなかに気持ちがよいのです。AH-C500Wは低音の伸びもよく、各楽器の分離も感じられて、アンサンブルの空間性が味わえて楽しい。空間の余裕を感じさせてくれるのは、開放型の強みですね。AH-C500Wは柔らかい音色は柔らかく、ソリッドな響きはソリッドに聞かせてくれるので、BGMのつもりで選んだストリーミングの音源もうっかり(?)じっくり聴き入ってしまうこともしばしば。
デイヴィッド・シフリンのクラリネット、エマーソン弦楽四重奏団によるブラームスのクラリネット五重奏曲などは、木管楽器とストリングスの音色の違いと、美しく溶け合うハーモニーが、心地よく耳元で広がります。
抜けの良い爽やかさはありながら、深く温かみのある音色も届けてくれるAH-C500W。夜にしっとり聴きたいショパンのノクターンなども、味わい深く聴いております。イリーナ・メジューエワさんの演奏が、さりげなく沁み込んできます。
小粋なヴァイオリン小品のアルバムなども、AH-C500Wで何気なく再生させていると、ちょっぴりセンチメンタルな気分に浸れたり、丁寧な日常を送れている気持ちになれてオススメです。ルノー・カピュソンの艶やかな音色がよく合います。
それから、最近ハマっているのが、中学・高校生がまっすぐに歌う合唱のアルバムです。汚れなく素直に、音楽をこねくりまわすこともなく、透明感あふれるハーモニーを聴かせてくれる「君と歌ったあの歌〜青春合唱名曲集〜」。ポップなのに複雑さもあり、広がりの感じられる混声合唱のこうした音源なんてもう、AH-C500Wがすごく得意とするところじゃないでしょうか。Official髭男dismが合唱曲として書き下ろした「Chessboard」という曲です。
「これでいい」と思わせてくれる、機動性の高いイヤフォン
AH-C500Wはいたってシンプル設計です。「Denon Headphones」アプリでタッチコントロールをカスタマイズしたり、EQを調整して自分好みに音作りなどはできますが、開放型ですからノイズキャンセリング機能はございません。自分の「聞こえ」を分析してくれるパーソナライズ機能などもございません。この潔さ!
しかし、使ってみますと、「なんだ、これでいいじゃないか」という気持ちになりました。逆に、「いろいろできない」という印象は、気楽にサッと手に取る機動性につながるから不思議です。それでも、きちんと音楽鑑賞できる高音質なので、家の中でもちょっとした隙間時間に使う稼働率が高くなります。これは私個人の感触だけかもしれませんが、ノイズキャンセリング付きの密閉型イヤフォンは、付けたまま歩くと、自分の足からの振動が耳に響いて心地よくないことがあるのですが、AH-C500Wはそういうことが起こらないので、お散歩イヤフォンとして快適です。外音をある程度取り入れるので、安全性もあると思います。
(もちろん、新幹線や飛行機などで外音を遮断したい場面や、しっかりボリュームを出したいときに自分の音漏れなどが気になる場合では、やはりノイズキャンセリング機能付きや密閉型をオススメします。)
小さな石鹸のような清潔感

最後に、このケースに漂うなんとも言えない可愛らしさも推しポイントです。マットな色味、少しザラつきのある手触り。これがとても爽やかなんですね。私はホワイトを選びましたが、石鹸みたい! と思いました。使い続けて、ちょっと小さくなってきた牛乳石鹸みたいな、親しみの持てる形と清潔感。軽くて、フレンドリーで、いつも手元に置いておきたくなるイヤフォンなのです。
(おわり)

東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。「クラシック音楽ファシリテーター」を肩書としながら、クラシック音楽の普及にまつわる幅広い活動をおこなっている。音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆・翻訳、市民講座講師、音楽イベントの司会やトークの仕事に従事。ラジオやテレビなどのメディアに出演。書籍に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」(共著、音楽之友社)、「ようこそ!トイピアノの世界へ〜世界のトイピアノ入門ガイドブック」(カワイ出版)、「さぁはじめよう!オーディオのある暮らし」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。
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